SES系エンジニアの末路

人売り、多重下請け、ITドカタ、ブラック企業…ネガティブなキーワードとともに語られることの多い(客先常駐)SES。 エンジニア人生の半分以上をSES企業で過ごしてきたワタシを例に振り返ってみます。
業務知識と技術力
常駐する客先によって業務は変わります。 必要とされる業務知識は学び取っていかねばなりません。 SES系エンジニアの将来はここで道が分かれる気がします。
一つ目の道は業務知識をしっかり学び、顧客の相談に乗れるレベルまで達する人。 こういう人は得意な業務を中心に常駐先が決まっていくことが増えます。 毎回そう都合よく仕事がある訳ではありませんが、業務で仕事を取るタイプのエンジニアになっていきます。
もう一つの道は技術力です。 よく言えば技術的な課題を解決することを主としてキャリアを積んでいく、悪く言うと業務知識の学びが少なく実装することにばかり目が行くタイプです。 こういうタイプは炎上案件の火消し要員として、業務に関係なく燃え盛る炎に投入されます。
ワタシは火消し要員でした。 技術力があるのではなく、業務にあまり興味を示さなかった結果、いつの間にかそうなっていました。
要件定義
客先常駐案件ではほとんどの場合、要件はすでに客先で決まっています。 作り手が足りないから声がかかるのがSES企業なので、仕方のないことですが。
顧客のビジネス課題の解決という経験がないから当然ですが、SES系のエンジニアは要件定義ができない人が多いです。 長い目で見るとこれは由々しき問題です。
先に使った「技術力」は実は「技能」を指しており、本来の技術力とは 課題解決ができること だからです。
エンジニアの技術力とは、運用が作れること だと思います。 顧客の課題を正しく理解し、価値を提供できる仕組みを作り、手順を回し続けること。 これすなわち運用です。
我々はお客様からお金をいただいてお客様の課題を解決する専門家です。 どんなプログラミング言語を使うかはお客様からの評価には関係ないのです。 それよりも「どんな課題なのか」「どのように解決するか」「直感的に使えるのか」のほうがはるかに重要です。
どんな末路が待っているのか
ワタシもまだ定年には程遠い年齢なので最期がどうなるのかは分かりません。 観測範囲でワタシと身近な方々がどのような道を進んだのか、紹介します。
独立する
会社を飛び出して自分の力でやっていく、というパターンです。 残念ながら大きく成功した例は(ワタシは)見たことがないですが。
独立すると何もかも自分でやらなければいけません。 相当タフでなければ務まりませんし、何よりも営業力がなければ続けることができません。
ですがいつかはワタシも…という憧れに似た気持ちがあることは否定できません。
転職する
SES企業ではない、SIerやメーカー系、その他社内SE的なポジションに転職するのは成功パターンのひとつだと思います。 誰でも出来ることではなく、それまでの努力や縁、運が必要になります。
ひとつ言えるのは、SES的な発想では上手くいかないようです。 自分が進みたい道がちゃんと見えていて、丁度必要としている企業に出会えた場合に転職に成功しているように思います。
その会社にとどまる
ネットで言われるような、SES企業のすべてがブラックではありません。 皆が仲良く協力し合って働いている会社も沢山あります。 そういう会社は徐々に直接声がかかるようになり、受託案件いわゆるSIer的な仕事が増えることで、会社自身が育っていきます。
幸せとお金は別物です。 自分が良いと思う会社であれば、無理に次のステップを考えなくても良いのかなと思います。
- 謝辞
- 画像は Pixabay 様より使わせていただきました。