Linuxコマンドを駆使して自費出版した話

過去に一度、自費出版をしたことがあります。 その顛末はビジネスのヒントにもLinux活用のヒントにもなりそうなのでご紹介します。
どんな本なのか
最初に白状しておくと、ワタシは書いていません。 Gigazineで原著が紹介されていたのがきっかけで本書を知りました。
- 1930年に出版された動物の描き方を指南した解説書がすごくわかりやすい
1930年に出版された動物のイラストの描き方を示したフランスの書籍が「Les Animaux tels qu’ils sont」です。Robert LambryおよびL. Lambryによる著作で、多種多様な動物のイラストの描き方をわかりやすくかつ誰でもマネできそうなシンプルさでレクチャーしてくれるという一見の価値ありな内容となっています。
これは面白そうだな誰か復刻してるだろうな、と思って探してみたのですが見当たらない。 リンク先のWikimedia Commonsを見るとCC BY-SAで公開されていました。
ワタシ以外にも読んでみたい人がいるかもしれないので、いっそ復刻してみよう!と思い至った次第です。
自費出版サービスは色々あった
PDFデータさえ作れば出版してくれるサービスが沢山あります。 出版に関して何の知識もなかったのですが、親子で楽しんで欲しかったのでリアル書籍を出版できるMy ISBNを利用することにしました。
なにぶん知識がない中で目的に沿っていて分かりやすかった程度の根拠で選んだので、もし自費出版サービスを探す際はご自身で良く調べてください。 他にもサービスがあり、無料で出版できるサービスもあるようです。 (売れた場合に何%か持っていかれる模様)
元ネタの品質と駆使したコマンド
元ネタのLes Animaux tels qu’ils sont、古い本だけあってかなり質は悪かったです。
100ページ以上ある低品質画像を整えてPDF化するにあたって、Linuxコマンドが大いに役立ちました。
(今回は特にImageMagick
が大活躍しました)
- 画像のダウンロード
- 全ての画像をダウンロードするのに
Ruby
とNokogiri
を使いました。いわゆるスクレイピングです。 - コントラスト補正
ImageMagick
のconvert -normalize
を使って明るすぎ・暗すぎ画像を調整しました。これだけで多少の裏写りはほとんど消えました。すごい!- 傾き補正(やってない)
ImageMagick
のconvert - deskew
で傾きを自動補正してくれるのですが、発見したのが出版後で使えませんでした。- チェック・修正(人力作業!)
- 裏写り・擦れ・白飛び・潰れなど、自動的に検出できないので人力チェックして修正しました。(娘にバイト代を払って手伝ってもらいました)
- SVG変換
- ここまでラスター画像(点の集まりで画像を表現)形式でしたが、PDF化に際して滑らかに拡大するためにベクター画像(線の集まりで画像を表現)形式に変換します。
- ベクターグラフィックツール
Inkscape
のbitmapトレースエンジンであるPotrace
コマンドを使用しました。 - PDF変換、PDF合体
convert
、pdfunite
、pdftk
あたりのコマンドを使っています。PDF編集コマンドは情報が豊富なので困ることは少ないです。
泥鰌は獲りつくされていた
手元に自分で復刻した書籍が届いたときのワクワクは今も覚えています。 しかし、そこで満足して月日を浪費したのはビジネス面では大きな損失でした。
自費出版からしばらく後、ふと同じ手法で古い書籍を復刻したら儲かるかも?と思って調べてみたんです。 面白そうな書籍がないかを。
↑このあたりの情報からWikimedia Commonsを探して回り、商用利用可能なライセンスの書籍をいくつか見つけました。 が、もう復刻されてました。。 泥鰌がいることに気付いたときに全部獲ってしまわなければ、誰かが獲るのは当然ですね。
他の誰かが気づく前に行動できた、という点で一度は面白い経験ができましたが、その価値に気づくのが遅れたために他の方々に持っていかれるという手痛い教訓も得た出来事でした。
- 謝辞
- 画像は ぱくたそ 様より使わせていただきました。