あなたの気持ちと客観的事実は誰にも否定できないはずだが

あなたの気持ちと客観的事実は誰にも否定できないはずだが

交渉事や議論の際、自分が正しいと思っているのに相手の言い分に何も言えなくなってしまう。 後から考えるとやっぱり自分が正しかったのに…ということはありませんか?

場の流れ

事実とは別に、交渉の場には流れがあります。 相手にポンポンとその場の事実を積み重ねられると、相手の言っていることが正論のような空気が作られます。 この流れのまま「じゃあ~ということで。」となってその場はおしまい、となるともう押し返すチャンスはありません。

大切なのはその場の勢いで 「はい」と言わされた 事柄は本当に事実なのかを確認することです。 相手は「はい」を積み重ねて有利に進めるため、よく聞いていると都合の良い正論を振りかざしている場合があります。

必ずしも正しいとは言えないことが混ざっていなかったか? 何が正しいのか言えなくても、引っかかったなら必ず声に出して確認しましょう。 場の流れを止める効果がありますし、周りの方が矛盾に気づいてくれることもあります。

本音と事実

あなたの気持ちは誰にも否定できませんが、それは本当の気持ちだけです。 本当の気持ちを言葉にできないのであれば黙っているのが良いです。 見透かされますし、信用を失う原因にもなります。

例えばやりたくない仕事を任されそうになった時、なぜやりたくないのかを正しく説明しましょう。 経験がないのにタイトなスケジュールを設定されて自信がない、と言えばスケジュールを延ばしてもらえるかもしれません。 アドバイザーをアサインしてくれるかもしれません。

また客観的な事実も否定できません。 スケジュールが遅れている、という事実は動かしようのないものです。

まぜるな危険

気持ちも事実も否定できないものですが、この二つが混ざると大変危険です。 焦りからくる雑な考察、引け目に感じていること、言いにくいことを隠そうとする気持ちが事故の元です。

  1. スケジュールが遅れている(事実:否定できない)
  2. なぜ遅れているかの原因を追及される
    • 真の原因は設計書が粗くて確認に時間がかかったこと(事実だが気付けていない)
    • 事実を追求せず、思い込みで自責寄りの回答をしてしまう(★事故の原因)

      プロジェクト立ち上がりで不慣れなため時間がかかりました

  3. 挽回策を求められる
    • 事実ではない原因+遅れている引け目+楽観的見込み(事実に基づかない)

      もう慣れてきたのでスピードアップして挽回します

  4. 事態は収束せず、悪化する

特に根拠の薄い「自責志向」「楽観的見込み」はエンジニアあるあるですが、誰も幸せにしない悪癖です。

正しく使おう

気持ちも事実も(混ぜなければ)どちらも否定のしようがありません。 なので交渉事で正しく使うことができれば言い負かされて不完全燃焼、ということが減らせます。

場の流れがどうであれ「分からないので再確認させてほしい」「不安を感じるので対策したい」と言えれば、勢いで物事が決まるようなことはありません。

上司が「なぜお客さんは会社案内ではなく、他の資料がほしいと言ったのか」と聴いているのに、「サービス案内な不十分だと考えている」と、自分の意見を述べている。 (中略) 何気ない会話であれば、相手と噛み合わなくても会話になってしまうのが、人間の素晴らしいところではあるのだが、仕事において「噛み合わない」は、後に重大なトラブルに繋がる可能性もある。


謝辞
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