お金に疎いエンジニアも知っておくべきお金の流れの基礎知識

お金に疎いエンジニアも知っておくべきお金の流れの基礎知識

ドキュメント作成に費やした時間と自分の給料から、このドキュメントに○万円の価値があるのか…?と思い悩んだことがあるのはワタシだけではないはずですが、世の中のお金の考え方ってそういうことではないのでご安心を。

提供する価値

あなたが開発に携わっているそのシステム(やドキュメント)は、何人を幸せにしますか?

例えば1日1時間、誰かを楽させてあげることができるものだとしましょう。 もしそのシステムを1万人が使うと…毎日1万時間もの効率化を達成することになります! (時給換算するとすさまじい金額になりますね)

システムの価値はシステムだけで測れるものではありません。 使う側の状況、例えば人数によっても大きく変動するものであり、誰に何を届けるかがシステムの価値を決めます。 システムの価値を高める活動は開発力だけでなく、企画力や営業力を含めた会社組織として取り組んでいることです。

なので、あなたの給料とシステムの価値にはあまり相関はありません。

顧客もお金を持っているわけではない

毎日1,000万円も削減できるシステムがあれば誰だって欲しいはずですが、意外と売れません。 企業が一度に動かせるお金には限度があるためです。

企業の活動にはお金がかかります。 例えば1,000万円売り上げるための経費が900万円だとすると、利益は100万円です。 売上を作るために出て行くお金があり、企業間で価値と交換しながら世の中をお金が流れていきます。 仮に今月の利益100万円、すべて使えるとしてもシステム購入費用には足りないでしょう。

そこで銀行が登場します。

システムを買えば経費が削減できることがわかっている、でも手持ちのお金では足りない。 そんな時は銀行からお金を借りて、少しずつ返していきます。 経営者ではないワタシなどは借金をイメージしてしまいますが、利子というお金を払って時間を買っているとも言えると思います。

お金の流れに乗るために

システムの価値は「効果×規模」です。 幸せにできる人が多いシステムほど、価値が高いと言えます。 会社としても1つのパッケージ製品や自社サービスが広く売れるほど、効率よく収益が得られます。

いつかは自社製品を…と夢を語る企業は今も昔もたくさん見かけるのはそういう経済的な理由もあるのです。 しかし、あまり成功した話を耳にしないのはなぜなのでしょうか?

IT企業が自社製品で成功できない理由はいくつかに集約できると思います。

課題解決の意識が低い

ビジネスは誰かを幸せにする対価としてお金をいただき、世の中のお金の流れに加わる活動です。 そもそも、欲しいと言わせるだけのモノを作らなければいけません。

顧客のビジネス課題の解決という経験がないから当然ですが、SES系のエンジニアは要件定義ができない人が多いです。 長い目で見るとこれは由々しき問題です。

売ることを考えていない

例えばメキシコでしか需要のないシステムを日本で、日本語で作っても売れません。 取引相手として営業させてもらえる相手をターゲットに見据える必要があります。

必要としている人に届ける方法がなければ存在しないのと同じです。 そしてお金をいただく仕組みがなければ、あなたには1円も手に入りません。

売った後の準備はできているか?

顧客にとってシステムは使ってなんぼです。 使い続けること=価値を享受し続けることですから、我々は運用し続ける責任があるのです。

エンジニアの技術力とは、運用が作れること だと思います。 顧客の課題を正しく理解し、価値を提供できる仕組みを作り、手順を回し続けること。 これすなわち運用です。


謝辞
画像は Pixabay 様より使わせていただきました。